日本一のいちご産地として知られる“いちご王国・栃木”で、直売を主軸にいちご栽培を手がける、加藤いちご農園様。2016年からみどりクラウドを導入、試行錯誤を繰り返しながら、 栽培技術に磨きをかけ、いちごの品質向上に取り組まれています。
「みどりクラウド」のサイトに掲載されていた農家募集の記事を見て、手を挙げました。12年前に栃木に帰ってきて就農し、ハウス3棟(15アール)でゼロからスタートしたところだったので、導入した時は本当に素晴らしいと感じました。思いついたことを試すと、すぐに結果がわかるし、データを見ながら、繰り返しトライできる。モニタリングによって、細かい試行錯誤ができるようになりました。そこで得た数値を把握していることが、現場での判断に役立ちます。病害についても、低温・過湿の状態になると灰色かび病が発生しますが、出る時と出ない時の状況の違いがモニタリングすることで初めてわかりました。
ハウス管理は、現場でその時々の環境の変化を見定めないと、モニタリングのデータだけでは判断できないということですね。いちばん難しいのが天候。今が適温だったとして、外気の影響でどんどん温度が上昇している時に、数値を見てハウスを開ける判断をするのは容易にできます。でも、その時の雲行きを見て、5分後に曇ると思えば、開けません。もう少し我慢すればいいからです。もし数値だけで判断して開けたとすると、曇った時に温度が下がり過ぎてしまう。急激にハウス内の環境が変わると気孔が閉じて、光合成の効率が悪くなったり、また結露が生じることで病気のリスクが上がったりするなど、短期的に生育のバランスが崩れ、イチゴの品質にも影響します。ハウス管理では、モニタリングのデータで温度と湿度の関係を把握しながら、実際の天気や風の動きなどを見て開け閉めを調整し、適正な環境を維持します。「みどりクラウド」があることで、それがやりやすくなったし、ロスがなくなって、品質が安定しました。
午前中は出荷作業に追われ、常に手を動かしているし、車で出荷先に行くので、スマホを出している暇がありません。でも、朝の出荷時がいちばん環境に変化がある時間帯で、状況に応じて対応しなければなりません。圃場の温度・湿度の数値くらいは把握したい。だから、いちいちスマホを出さなくても、スマートウォッチみたいなもので数値が確認できると便利でいいなと思います。
ある程度、品質は安定しましたが、お客様のニーズに対して供給量が追いついていない時があるので、もう少し拡大していきたいと思います。今のベースを守りつつ、少しずつチャレンジを繰り返し、栽培技術も上げていきたい。「みどりクラウド」のおかげで、日頃からこまめにいろいろ試行錯誤ができます。いちごは、もともとポテンシャルが高いので、普通に作っても美味しい。でも、そこを目標にしていたら、品質は維持できません。常にその上を目指し、安定的に品質の良いいちごを栽培し、美味しいと言ってくれるお客様に対して、イメージ通りのものを提供し続けたいと思います。