西日本高速道路エンジニアリング中国株式会社様は、少子高齢化の進行による後継者不足問題に鑑み、CSRの一環として2010年に農業分野へ参入。広島市内から車でおよそ1時間の北広島町にある北広島農場では、イチゴや米、キャベツ、ミニトマト、大根など多種の農作物を栽培しています。その中でもイチゴは「本当の食べごろ」にこだわるため、完熟の状態で収穫し、最短で収穫の翌日に広島市内の消費者に届けることが出来るように取り組まれています。
イチゴ栽培での最低気温は5~6℃とされていますが、北広島は1月にマイナス10℃を記録することもある寒冷地です。そのため、冬のイチゴ栽培ではしっかりとした温度管理が欠かせません。厳しい冬に、暖房機が故障して収穫が途絶えてしまったことがありました。 そこで、対策として温度異常時のアラート機能とデータを利活用するためのモニタリング機能を併せ持つサービスを探し、「みどりクラウド」に辿り着きました。
「みどりクラウド」を導入して今年で5年目になります。導入後も暖房機のダクト外れや積雪による停電、日照時間が長くハウス内が高温になる、といったトラブルが8件ほどありました。こうしたトラブルは想定外の天候によるものが多く、完全には避けがたいですが、モニタリングの途絶で停電に気づき、温度異常を検知したアラートによりいち早くトラブルに気づき、作物への影響を最小限に抑えられました。
CO₂施用装置の導入後は、CO₂センサーが活躍しています。施用装置自体のセンサーとは別に「みどりクラウド」でハウス内のCO₂を測定し、CO₂施用を利用しているハウスとそうでないハウス、ハウス内と施用装置の周辺、それぞれのデータを比較して効果測定しています。施用装置のセンサーだけでは見えてこないハウス内のCO₂濃度のムラについても、「みどりクラウド」で改めて把握することができました。 また個人の感覚に頼るのではなく、「みどりクラウド」で気温や水やりなどを記録して経験を数値で共有することで、客観的に「〇〇℃になったらこの作業をして」といったデータに基づいた指示を出せるようになりました。
「みどりクラウド」ではデータが2分間隔で記録されるために、報告書作成の際に扱うデータ量が多く作業に時間が掛かってしまいがちです。今後は、データ出力時に1時間単位など、粒度を任意で設定できるようになると嬉しいです。※1
現在イチゴ栽培には2棟のハウスを利用していますが、今後は6棟まで栽培規模を拡大する予定です。より大勢のスタッフが栽培に携わることになるため、データ活用をより一層進め、品質の高いイチゴを安定的に消費者に届けられればと考えています。
※1 現在はデータ出力時の時間単位を「計測値」「1時間平均」「1日平均」「1か月平均」の中から選択できるように機能を追加いたしました
圃場にセンサを設置するだけで、作物の生育環境や状況を自動で計測・記録、そのデータをPCやスマホなどに表示し、離れた場所からいつでも確認できます。