祖父の代からトマト栽培を営む、小池農園様。大玉トマトを主に、土耕栽培にこだわり、「みどりクラウド」のモニタリングデータと自身のこれまでの感覚を照らし合わせながら、栽培方法の検証に取り組まれています。
物心ついた頃から父たちを手伝い、大学卒業後、すぐに就農し、2018年にちょうど18年目を迎えました。現在は、父の管理する棟も含め、350坪から800坪まで大小4棟のハウスでトマトやキュウリなどの栽培を手がけています。
「みどりクラウド」に興味を持ったのは、二酸化炭素や湿度のモニタリングができると聞いたから。導入している生産者の方に見せていただき、話を伺って決めました。最初の年は特別なことはせず、基準となるデータを計測し、翌年から、その数値をベースに少しずつ変化を加え、生育にどう影響するか、試しています。父のそばでトマト栽培をずっと見てきたので、その方法は感覚的に身についていますが、それを「みどりクラウド」で数値的に検証しながら、自分の栽培方法を見極めたいと思っています。
現在、「みどりクラウド」を導入している800坪のハウスは、東西に72mの長さがあるため、朝方は東側の温度が早く上がるのに対し、夕方は、西日で西側の温度が下がりにくいなど、場所によって地温、土壌水分、気温変化も異なります。ハウスの基礎整備以前は、西側が川だったことから、作付けを始めて数年は、水を吸う所と不足する場所が混在するなど、土壌条件が一定ではありませんでした。今はある程度、差はなくなりましたが、それでも中央部は水切れしやすい一方、奥側はなかなか乾きません。今までも気温の測定はしていましたが、こうした複雑な圃場環境なので、「みどりクラウド」で土壌の水分量や地温の動きをじっくり観察し、今までの自分の感覚とデータを照らし合わせて判断するようにしています。
クラウド上にデータがアップされるので、気になった時に、その場でスマホを使って過去のグラフと数値を比較検討できるのは大きいですね。現場の状況を見ながら、過去のデータを確認できるのは強みだと思います。ハウスに来るまでの数分で確認できて、すぐに作業ができます。
ハウス内の圃場環境が異なるので、今は中央部で測定した値に補正をかけることで、場所ごとに調整しています。できれば、無線子機などで、他の場所でも地温と気温の測定くらいはできるようになるといいですね。
“レディファースト”という大玉品種は、ミニトマトよりも弱く、耐病性が低いため、もともと長い期間にわたって収穫するような品種ではありません。通常、年明けからの収穫ですが、このハウスは軒高で遮光できるので、大きい需要が見込める12月の早めの段階から長い期間、収穫できます。ただ、厳寒期の間、なるべく圃場環境を一定に保たなければなりません。冬場は波があるので、落ち込みをいかに少なく抑えるか。そこは、木の様子を見ながら対応していますが、予想外に落ち込んで足りなくなったり、逆に売切れないほどになったり、ばらつきがあるので、そこは何とかしたいと思っています。
将来的には、離れた場所にあるハウスにも「みどりクラウド」を設置したいですね。制御盤と連携して設備を自動でコントロールできるものがあれば、こまめに足を運べないハウスでも、天候の変化が激しい時の管理には便利ですから。